初めての尾道。


海が見えた 海が見える 5年ぶりのふるさとの海はなつかしい・・・林芙美子の文作。
長い間、行ってみたいと思っていた「尾道市」、念願かない一泊で訪ねた。
尾道市林芙美子の名作「放浪記」で全国的にも有名であるが、近年は町歩きの名所として若者達がフラッと立ち寄り何かを感じて時に居付てしまう「ナントナク不思議な町」。
娘時代の林芙美子尾道の女学校を卒業したが、幼少の頃から親の都合で流転、上京後は男性遍歴で苦労を重ねる、彼女ほど前半正と後半正格差の激しい人生を歩んだ女流作家もいないのでないか、その人生体験が名作「放浪記」を生んだ。
中学〜高校時代に亡き母に林芙美子の話はよく聞かされ私の中では尾道に対する「慕情」のようなものが潜在していた、千光寺から尾道港にいたる古びたアーケードの入り口に芙美子像がひっそりと設置され銘板に冒頭の句が刻まれていた。
女流文学者として開花、全盛時に宴席をハシゴ、心臓まひで急逝した、将に「花の命は短くて・・・」無情である。
暗いイメージの尾道だが港周辺は活気に溢れ若者たちの町である、空き家を有効活用、色んな小店が営業、町全体で商いに取り組み、商魂逞しさと見事な町づくりに感服する。
芙美子の半生と亡き母の半生が重なり楽しい気分にはなれなかったが、長年の想いを叶え、充実感を味わえた事は、私の人生行脚で一つの目的を果たしたような気分である。