「あさきゆめみし・・・」

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新聞の読者欄に「あさきゆめみし・・・」見知らぬ人が投稿していた、古典的な題名が気に入り読ませて頂いた。
若い時、夢に見た「甘美で華やかな人生」は次元の異なる別世界で、紫式部の時代から現在も変わらず1mも進化していない。その方は人生の夕暮れにふと立ち止まり残り少なくなった灯を照らして独白されていた。
若い時は夢と希望の中で生き老いる事など毛頭も考えない、歳月は人を待たず、年月は瞬く内に過ぎ老いて挫折と失望の中で人生を諦観せざるを得ない時が来る。
一握りの人が宝くじに当たり我が世の春を謳歌するが永遠の幸福を約束された訳でなく、等しく世を去るのも又、同じ人間の宿命である。
飛鳥、天平時代の仏像は「いろは歌」を口元に秘め、慈悲深いまなざしで怪しく微笑む、半眼半開きの顔面に現世の無常、人の世の無情を諭しているようである。
私も男性の平均寿命からすれば余命「四年」である。
喜寿「77歳」を、毎日、毎日懸命に生きて来たが、振り返ってみれば「あさきゆめみし」の連続であった、いろんな事に挑戦、思いのままに乗り越えてきたが、自分の領域を超えておらず果たして何を成したのか、と胸に手を当てれば確たる回答で応える事ができない。