歴史の語り部「久賀島」


「長崎と天草地方の潜伏キリシタンと関連遺産」が今年の世界文化遺産に登録された、この中には五島列島から3か所、北松小値賀町佐世保市黒島が各1か所、共通項は限界集落的村落。
私は仕事を兼ねて20年位前から全ての構成遺産を見て来たし、久賀島等は祖母の嫁ぎ先で幼少の頃、村一番の旧家に泊まり、夜に動物の鳴き声に怯えて中々眠れなかったのはほろ苦い思い出、翌朝聞いたら野生の鹿らしく、当時から人間より鹿の数が多かったようだ。
福江島と周辺には今でいう潜伏キリシタンの末裔があちこちに存在、早朝5時の教会ミサに身を隠すようにして行っていた、町内の人々は禁教迫害時代を自分たちの先祖から伝え聞きキリスト教信者を「外道=ゲド」と呼称 蔑視していた。
潜伏キリシタンがその信仰を親が子に伝え、代々秘かに継承して来たのと同じように仏教、神道の彼等もまた代々親が子に子から孫に「ゲド」とは余り付き合うな、と一線を引き同じ地域で共に生活をした来た歴史がある。
少子高齢化と人口減少、全国一離島の多い長崎県の若者は都会に職を求めて人口流出、せめて交流人口を拡大、県勢を回復を図るには世界遺産登録は絶好の機会と観光、水産、運輸等、世界遺産サマ様の様相である。
これを機会に過去の確執を清算五島列島に新しい風が吹くことを期待したいが久賀島の田ノ浦、細石流、五輪 久賀島の信者達はこの世界遺産フィーバーをどう受け止め消化しているのだろうか、恩讐の彼方に五島の海は黙して語らない。
(写真は五島市福江町久賀島、五輪教会堂近くの船着き場)