残照の趣き

一緒に仕事をして来た知人が脳梗塞で倒れた、私より10歳位若い男、元気で社会奉仕など率先し頑張っていたが、一晩で再起不能、延命措置で病床にある。
高齢者死因の殆どが心臓病か脳血栓関係、一晩で帰らぬ人か、病臥の人になる。
私も彼らと同じ運命を辿らぬ保証はなく細心の注意、最低の知識、有事の対応を頭の中に備蓄している。
齢 76歳・・・今だ道半ばにして不完全燃焼の日々、為さねばならない事は山ほどあるのに貯まる一方。
幸いな事は時間と共に自然解消されていく事案も結構あり、優先順位を毎日入れ替えて将棋を指している〜気分。

夕方のウォーキング途中、山稜に沈む夕日に人生の今を観る思い、太陽が太陽としての仕事を終え落日の侘しさを保ちながら沈んでいく情景は人間の一生と重なり趣がある。
ワタクシも落日の時を迎えた今、ワタクシが私の足跡を検証する時、語れる事のない虚しさを感じる、もっと目的意識をしっかり持って生きてくれば良かった、もっと意志強固に生きてくれば良かった、もっと友人知人家族を大切にしてくれば良かった、もっと、もっと、もっと・・・すべての事を。

「後悔先に立たず」の格言は百も承知、事ある毎に自分にも言い聞かせて来たはずなのに、半分ぐらいは勿体ない時間を費してしまった。
沈む太陽、最後の一仕事は最後の力を振り絞って・・・・・・残照。
残照の中に有終の美、自然の摂理を感じさせる不思議な趣がある。
ワタクシにも何時迎えに来るか分からない片道航路の彼岸船、旅装を整え、慄く事のないように腹だけは据えておかねばと思いを改める。
                    小雨の夜・・・ 10時42分。