「石木ダム」政治不毛。


先日、長崎県諫早干拓調整池開閉問題と併せて膠着状態になっている「石木ダム建設予定地」を友人と訪ねた。
県が国の事業認定に基づき強制収用で「工事着手」したのに対し、反対地権者は法廷に持ち込み「行政訴訟」を起こした、益々混乱の兆しで更には県、佐世保市に対して「工事差し止め」の仮処分まで考えているようだ。
県民の一人として意見を述べれば膠着している原因の最たるものは既に国の補助金を含め総事業費の40%以上の多額(123億5千万円)を支出し、国、県民、佐世保市、賛成地権者に対する立場からも工事完成させなければ始末がつかない事情にあるからである。
40年前の佐世保市の水資源対策で計画された事業であるが、社会構造が変わった現時点で立案したら必要性の是非は誰が考えても「無用な公共工事」として議論の対象には成らないと思えるのだが・・・・。
用地買収、移転補償に多額の費用支出が問題を複雑にし、政治家も行政の長も誰も現地に行って身を削ろうとしない、過って故久保知事は長崎空港を実現させる為、簑島に一升瓶をさげて訪ね、島民を納得させた話は今も語り草になっている。石木ダムに関しては政治が仮死状態のように見えて仕方がない。
先が見えない現状で先祖代々の土地を命懸けで守り続けて来た反対地権者、この集落は田畑、家屋、道路さえも石垣積で先人の情念を痛く感じると共に、私には「石垣集落群」遺産として後世に残す歴史的価値がある風景に見えた。