謎の「烏面」。

私の所蔵品の中に「烏面」がある。

出所は東京で叔母の所蔵品 であったが、今は亡き兄弟で形見分けした中の逸品。

掲載できず残念だが私が生存中に所蔵品を権威ある専門官に鑑定して貰いたく著名な

古美術商を訪ね「烏面」を見て貰った。

鑑定士は若く不安を覚えたがまじまじと凝視、出所と経過を尋ねられた。

私は知る範囲の経過を説明したが叔母の手元に至った事情は知る由もなく、叔母の系譜 

は千葉県は房総半島九十九里浜の鳴浜云々、若い時は宝塚歌劇団の籍を置き、その後ビクターに所属、歌手として戦時中は軍の慰問団員となり満州国、前線部隊を巡回慰問、幅広い人脈を有した女性。

「烏面」は秀作で200年以上の作品、木彫り、着色顔料、表情が良い・・・

但し、いくら逸品と雖もこの手の古美術品に必要なのは「歴史性」が求められ、その歴史性に金銭的評価が下され、その部分が不明では評価できない・・・回答で有った。

そういう事情を事前に承知していたら自分でストーリーを作ればよかったなぁと思ったが後の祭り、物の良さが確認できたのは収穫なので「能面」コレクターに渡りをつけて

買って貰う手立てを考える事にした。

時代の逸品はわからず屋の手元に置いておく事ほど無意味な事はなく、良い処で保管し、後世に永久保存の必要が有る。